Huawei対ZTE事件CJEU判決後の判例法
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Updated 9 11月 2020

シャープ対ダイムラー、ミュンヘン地方裁判所

LG Munich
10 9月 2020 - Case No. 7 O 8818/19

A. 内容

原告は、日本に本社を置くシャープグループ会社(シャープ)である。シャープは、欧州電気通信標準化機構(ETSI)が開発した各種無線通信規格(標準必須特許又はSEP)の実施に必須(と見込まれる)として宣言済みの特許ポートフォリオを保有している。

被告ダイムラーは、ドイツの大手自動車メーカーである。ダイムラーは、ETSIにより開発された規格を実施する接続機能を搭載した自動車をドイツで製造し、販売している。

シャープは、本事件に関係する特許について、4G/LTE規格に必須(と見込まれる)としてETSIに宣言した。ETSIは、規格の実施に必須であるか、必須となる特許を公正、合理的かつ非差別的(FRAND)条件にてユーザーの利用に供すると確約するよう権利保有者に要求している。

In 2017年、シャープは、Avanciライセンシングプラットフォームに参加した。Avanciは、標準ライセンス契約及び固定料率に基づき、接続規格に関するSEPのライセンスを自動車メーカーにオファーした。Avanciは、2016年9月以降、ライセンス契約締結に関し、既にダイムラーと接触していたが、契約締結には至らなかった。

On 20 May 2019年5月20日、最初の接触後、シャープは、対象規格の関連部分にかかわる自社のSEP(係争中の特許を含む)を図示したクレームチャートをダイムラーに送付した。

2019年6月7日、ダイムラーは、使用した特許につき原則としてライセンスを取得する意向である旨を回答したが、双方向ライセンスのオファー又はAvanciプラットフォームを経由したライセンス許諾を行うかどうかシャープに尋ねた。双方向ライセンスがオファーされていれば、ダイムラーは、自社のサプライヤーも同様にライセンスを取得できると想定したことを指摘した。

2019年7月23日、ダイムラーは、ダイムラーでなく自社のサプライヤー(ただし、個別の社名には言及されていない)にライセンスが許諾されるべきだとの書簡をあらためてシャープに送付した。ダイムラーは、ダイムラーのサプライヤーにライセンスがオファーされないのであればシャープのETSIに対するFRAND誓約に反していると主張し、シャープの締結済み契約、特にダイムラーに接続ユニットを供給している会社との契約に関する情報を要請した。

2019年8月8日、シャープは、個別ライセンスをオファーする意向であるとダイムラーに回答し、通知した。このため、シャープは、一定の情報、特にダイムラーのサプライヤーにかかわる情報をダイムラーに要請した。

2019年9月18日、ダイムラーは、シャープから要請された情報の提供を拒絶し、シャープによる適切なライセンス要求先として自社のサプライヤーに委ねるとした。

2019年10月22日、シャープは、ダイムラーに双方向のFRANDライセンスをオファーしたが、このオファーは承諾されなかった。

その後、シャープは、ダイムラーを相手取り、ミュンヘン地方裁判所(裁判所)に権利侵害訴訟を提起した。ダイムラーの複数のサプライヤーがダイムラーを援護するため当該訴訟に参加した。 2019年12月17日、訴訟が提起された後、ダイムラーは、係争中の権利侵害訴訟の停止に同意するようシャープに要請した後、カウンターオファーを行った。2019年12月31日、シャープは、ダイムラーのこのカウンターオファーを拒絶した。

審理の過程で、シャープは、訴訟に参加していたダイムラーのサプライヤー1社との間で、ライセンス契約に関し合意した。結果として、シャープは、審理での主張内容を修正した。

この判決 [89] をもって、裁判所は、ダイムラーに差止命令を下すとともに、ダイムラーの損害賠償責任を判示した。さらに裁判所は、侵害製品のリコール及び破棄、計算書の提出、並びにシャープに対する損害賠償金の算定に必要な情報の提供をするようダイムラーに命じた。
 

B. 判決理由

裁判所は、係争中の特許が4G/LTE規格の実施に必須 [90] であり、侵害されていた [91] と認めた。これにより、シャープは、差止命令の救済手段を求める権利がある [92] 。 ダイムラーは、いわゆる「FRAND宣言を理由とする抗弁」を展開し、シャープが権利侵害訴訟の提起によって市場支配的地位を濫用し、これがEU機能条約(TFEU)第102条に反していることから、差止命令の申立ては却下されるべきと主張した。特に、Huawei対ZTE事件 [93] でEU司法裁判所(CJEU)が示した行動要件(Huwaei決定又はフレームワーク)をシャープが遵守していなかった点について主張した。 裁判所は、ダイムラーによるFRAND宣言を理由とする抗弁を却下し、ダイムラーが自社サプライヤー由来のFRAND抗弁に依拠することはできないと認定した [94]

市場支配力の濫用

裁判所によれば、特許保有者が支配的地位に付帯する「特段の責任」を果たすための「十分な努力」を怠った上、原則として「ライセンスを取得する意向である」実施者との契約締結を推進した場合、SEPの行使による市場支配的地位の濫用が生じうる [95] 。ただし、この場合、権利保有者の許諾を得ることなく保護対象の技術を既に使用している実施者がFRAND条件でライセンスを取得する意向でなければならない [96] 。裁判所は、SEP保有者が規格実施者にライセンス取得の「強要」を求めることはできないと説明した [96]

上記を踏まえ、裁判所は、シャープが本件訴訟を提起したことはTFEU第102条に定められる濫用にあたらないと認めた [97] 。裁判所は、シャープが市場支配的地位を有していたか否かについては確証せず、本件においては有していたと想定するに留めた [97] 。それにもかかわらず、(想定された)支配的地位の濫用が認められなかったのは、ダイムラーがシャープのSEPポートフォリオにかかわるライセンスの取得することについて十分に明確な意欲を表明しなかったためである [98]
 

Willingness

裁判所は、「実際にいかなるFRAND条件であろうと」、実施者がSEP保有者とのライセンス契約を締結し、爾後、「目標志向」の方法でライセンス協議に従事する誠実意思を有する場合、これを「明確に」かつ「疑義のないよう」宣言しなければならないと説明した(引用判例、連邦司法裁判所、2020年5月5日判決、Sisvel対Haier、事件番号KZR 36/17、及び英国高等法院、2017年4月5日判決、事件番号[2017] EWHC 711(Pat) – Unwired Planet対Huawei) [96]

つまり、実施者は、ライセンス協議を遅延させてはならない [99] 。裁判所の見地からすると、特許で保護された標準化技術を協議前に既に利用している実施者はその特許が満了するまでライセンス契約の締結を遅延させる単独の利益又は優勢な利益を有しているため、遅延させてはならない点が特に重要である [99]

その上で、裁判所は、ダイムラーが「誠実意思を有する」実施者としてふるまっていなかったと認定した [98]

シャープへのカウンターオファー前のダイムラーの行動を見た上で、裁判所は、「明確な」誠実意思の宣言が欠落していたと判示した [100] 。2019年6月7日のシャープに対する最初の回答で、ダイムラーは、シャープの特許が使用されている場合でも、ライセンス協議に関する一般的な意思を超える確約をするとの表明を一切しなかった [101] 。さらに言えば、2019年7月23日付のダイムラーの書簡では、ダイムラーは、シャープに対して自社のサプライヤー(特定しないで)に差し向け、シャープがサプライヤーにライセンスを許諾する義務を負っていると主張しており、適切な誠実意思が宣言されていなかった [102] 。2019年9月18日の陳述書でも、ダイムラーは、自社のサプライヤーに委ねるとし、かつ、ライセンスオファーに必要な情報をシャープに提供することを拒絶していた [103] 。裁判所は、シャープから要請される情報を提供する法的義務はないが、ダイムラーがその提供を拒絶したことで、「目標志向」で協議に従事しなかっただけでなく、当該協議を遅延させることがねらいであったことが明らかになった点に着目した [104] 。これは、ダイムラーの回答がシャープの要請の都度およそ6週間後に行われていた事実からも確認されている。裁判所は、ダイムラーが回答に時間を要した理由を確認しなかった [104]

さらに、裁判所は、ダイムラーの「誠実意思を有しない」実施者としての行為は、Avanciプラットフォームとの協議でのダイムラーの全体的な態度からも明らかであると事実認定した [105] 。裁判所は、FRAND宣言を理由とする抗弁を申し立てる実施者の「誠実意思」を評価するにあたっては、時機的に、権利侵害通知受領後直接に発生した事実のみならず、全体的な行為を考慮に入れなければならないと判示した [106] 。誠実意思評価の基準は、特許保有者が先に実施者に接近したか、実施者が主導してライセンスを求めたかの「やや行き当たりばったりの」事実に依拠するものであってはならない [107] 。Huawei判決において示された義務(そのひとつが、ライセンス取得の「誠実意思」を表明することにより権利侵害通知に反応すること)は、原則としてCJEUの命令において「措置」として従うべきものであるが、両当事者の行動上例外が認められ、かつ、Huaweiフレームワークの純粋な「形式的」見解が適切でないと思われる場合には、ケースバイケースで例外を認めなければならない [108] 。裁判所によれば、ダイムラーが2016年9月以後Avanciと接触しており、いずれの時間的段階においてもライセンス取得の意向を表明していないことから、本件はその例外に該当した [109]

さらに裁判所は、2019年12月17日付のダイムラーによるカウンターオファーについて、権利侵害訴訟提起後になされたものに過ぎず、意向表明の欠如を是正することにならないと認定した [110] 。裁判所の見解によれば、本件において係属中の訴訟手続の停止についてシャープに同意が求め後カウンターオファーがなされた事実は、ダイムラーが専ら遅延を生じさせようとして行ったことを示しており、よって、当該カウンターオファーはその時点までにダイムラーが示していた「明らかな意向の欠如」を補うに値するものでなかった [111] 。この点に関し、裁判所は、審理が進むにつれ厳格さが増す要件が求められるが、係属中の訴訟手続中、(カウンターオファー等により)不備を是正する機会が原則として与えられていると述べた [112] 。 さらに裁判所は、ダイムラーのカウンターオファーが内容の点で、「実際にいかなるFRAND条件であろうと」ライセンスを取得する意向を表明するものでなかったと強調した [113] 。ロイヤルティ計算に異なる複数の「基準」を用いることで、ダイムラーは、シャープからオファーされたか、Avanciが競業者をとりまとめたオファーののごく一部のみについてカウンターオファーを行い、カウンターオファーの拒絶が「論理上必要」となるように仕向けていた [114]

この流れにおいて、裁判所は、意向の評価にはダイムラーの態度のみが関係すると明言した [115] 。さらに、ダイムラーは、差止命令を回避するために、訴訟に参加していたサプライヤーがシャープからライセンスを取得する意向を有していたとする「主張」には依拠することができなかった [116] 。よって、裁判所は、ダイムラーのサプライヤーが実際に「誠実意思を有するライセンシー」として行為していたかどうか調査しなかった [116]

非差別性/ライセンス許諾レベル

上記に加え、裁判所は、シャープがエンドデバイスメーカーであるダイムラーのみにライセンス取得を求めることにより、濫用的又は非差別的に行動していたのではなかったと説示した [117] 。 裁判所の見解では、シャープはダイムラーのサプライヤーにライセンスを許諾する義務を負っていなかった [118] 。(ドイツの)自動車業界においては自動車メーカーにコンポーネントを販売するサプライヤーが当該コンポーネントに関するライセンスを取得するのが一般的であるとはいえ、シャープがその慣行を尊重し、受け入れる義務を負うものではない [119] 。反対に、ダイムラーは、自社製品での無線通信技術の利用度が増す限り、その分野で一般的な、エンドデバイスメーカーへもライセンスを許諾するという慣行を受け入れなければならない [119]

上記にかかわらず、シャープは、コンポーネントメーカーにライセンスを許諾する法的義務を一切負っていない。シャープが負っているのは、自社のSEPがカバーする規格への「アクセス権」を付与する義務である [120] 。特許保有者がETSIに確約することにより、SEPのライセンスを第三者に許諾する義務が生じる [121] 41。しかしながら裁判所は、これにより、バリューチェーンのあらゆるレベルでライセンスを許諾する義務が必ずしも生じるわけではないことを強調した [122] 。そのような義務は、競争法又は特許法若しくはETSIのFRAND規約に対する契約法のいずれからも生じない [122] 。 特に、EU競争法では、バリューチェーンのあらゆるレベルでSEPのライセンスを許諾する義務を定めていない [123] 。裁判所によれば、特許保有者は原則として、バリューチェーンのどのレベルをライセンス許諾の対象とするか、自由裁量により選択することができる [124] 。Huawei判決において、CJEUは、FRAND引受けにより、特許保有者からライセンスを許諾される第三者の側に「正当な期待」が生じると指摘した。しかしながら裁判所は、これにより、エンドデバイスメーカーの全サプライヤーにライセンスを許諾する義務が生じるものではないと判示した。市場へのアクセスに必要とされるのは、必ずしもライセンスではなく、「法的に使用できること」である。これは例えばバリューチェーンの最終レベルで付与されるライセンス等を通じて与えられ、サプライヤーはこれに基づき「have-made-rights製造委託権」下で製造することができる [124]

また裁判所は、特許法においても、バリューチェーンの中でSEPライセンスが付与されるべきレベルは定められていないと説明した同判決、paras. 173節以下。。とりわけ、SEPポートフォリオに含まれる特許のすべてが常にコンポーネントメーカーのレベルで消尽するわけではないという事実が、(この場合に見込まれるライセンス料のより効率的な「管理」に加え)エンドデバイスレベルでのライセンス許諾の正当性を示している [126]

最後に、裁判所は、ETSIのFRAND規定は、契約法によって利害関係者たるすべての第三者にライセンスを許諾する義務が特許保有者に課すものではない旨を指摘した [127] 。適用されるフランス法に基づき、ETSI IPRポリシー第6.1条は、ライセンスを求める当事者との間でFRAND契約について協議する義務のみが課されると理解される [128] 。ただし、「装置」に言及した場合、本規定は、すべてのコンポーネントが必ずしも規格全体を実装するわけではないことから、エンドデバイスメーカーにのみ対応することとなる [129] 。裁判所の見地において、以前別の事例において欧州委員会が示した見解に拠っても、別の結論が導き出されることはない同判決、第180~183節。裁判所は、とりわけ、欧州委員会の決定(事件番号AT.39985 – Motorola)、水平的協力協定へのTFEU第101条の適用に関するガイドラインの通達(2011/C 11/01)、及びデジタル単一市場へのICT標準化優先性の通達(COM(2016) 176確定版)に言及した。

サプライヤーのFRAND宣言を理由とする抗弁

さらに裁判所は、サプライヤーによりなされたFRAND宣言を理由とする抗弁をダイムラーが利用することはできないと認めた [131] 。被告がそのような抗弁に依拠できるのは、特許保有者がサプライヤーにライセンスを許諾する義務を負っている場合に限られる。ただし、被告自らが、関連するバリューチェーンでの特許消尽を十分に考慮しSEP保有者との間でライセンス契約を締結する立場にある場合、上記の定めは適用されない [131]

裁判所は、本件がこれにあたるとみなした。ダイムラーのサプライヤーは、シャープに対しライセンスの許諾を請求する権利を有しておらず、標準化技術に対し「法的に保護されたアクセス権」を請求する権利を有していた。これをダイムラーに有利になるよう考慮することはできない [132]
 

C. その他の問題

さらに、裁判所は、比例性の原則(proportionality considerations)に基づくシャープの差止命令請求を制限する根拠はないと裁定した [133] 。ダイムラーは、自社製造の自動車が多数のコンポーネントを組み込んだ「複雑」な製品であり、シャープのSEPに関係するテレマティクス制御ユニットは当該自動車にとって重要性が低いとして、係争中の特許に基づき差止命令が下されるべきでないと論じた。

裁判所は、比例性がドイツ法において、原告から異議が申し立てられる都度検討される、憲法と同等の順位を有する一般原則であり、差止命令による救済手段に関しても考慮される旨を明言した [134] 。連邦裁判所の判例によれば、差止命令は、例外的に、信義則に反する特許保有者の正当化できない排他権で、実施者が不都合を被るおそれがあると即時に執行されない場合があり、 [135] 。 裁判所の見地から、差止命令による救済を求める権利の制限が問題になるのは「ごくわずかな例外的な事例」であることから、その制限に際しては、厳格な条件を定め、特に「法秩序」のみならず「法的な確実性及び予測可能性」を保護しなければならない [136] 。関係事実すべてをケースバイケースで評価する必要がある一方で、実体的及び手続上の包括的なフレームワーク(最初の差止命令の執行を求める場合の供託金差出しの必要性を含む)についても検討する必要がある [136]

裁判所は、差止命令により通常もたらされる結果を超える不都合のみが考慮の対象となりうることを説明した [136] 。権利侵害者には、可能な限り早急にライセンス契約を締結するよう努力し、かつ、遅くとも権利侵害通知受領後、見込まれる差止命令に対する予防措置を講じることが求められる [136]

この背景を鑑み、裁判所は、本件において、対象となるのがダイムラーの自動車に含まれる単一のコンポーネントのみであったとしても、複雑な特許ポートフォリオ(シャープのポートフォリオか、Avanciのポートフォリオかを問わない)に基づくライセンス許諾を巡り紛争が展開されると述べた [137] 。「コネクテッドカー」を参照する技術革新の重大部分は技術的・経済的双方の観点においてモバイル通信技術と密接に関連していることから、シャープの特許により実装された機能がダイムラーの車両にとってさほど重要でないとの反論は、裁判所を説得する材料とならなかった [138] 。最後に裁判所は、ダイムラーがシャープ又はAvanciのいずれともライセンス契約を締結すべく真摯な努力を尽くさなかったとして批判した [139]

  • [89] シャープ対ダイムラー、ミュンヘン地方裁判所、2020年9月10日判決、事件番号7O8818/19(https://www.gesetze-bayern.de/Content/Document/Y-300-Z-BECKRS-B-2020-N-22577?hl=trueから引用)
  • [90] 同判決、第68節以下。
  • [91] 同判決、第 25節以下。
  • [92] 同判決、第90節。
  • [93] Huawei対ZTE、EU司法裁判所、2015年7月16日判決、事件番号C-170/13
  • [94] シャープ対ダイムラー、ミュンヘン地方裁判所、2020年9月10日判決、事件番号7O8818/19第121節。
  • [95] 同判決、第124節。
  • [96] 同判決、第125節。
  • [97] 同判決、第128節。
  • [98] 同判決、第130節以下。
  • [99] 同判決、第126節。
  • [100] 同判決、第132節以下。
  • [101] 同判決、第134節以下。
  • [102] 同判決、第136節以下。
  • [103] 同判決、第138節以下。
  • [104] 同判決、第140節。
  • [105] 同判決、第141節。
  • [106] 同判決、第142節以下。
  • [107] 同判決、第143節以下。
  • [108] 同判決、第144節。
  • [109] 同判決、第146~149節。
  • [110] 同判決、第150節。
  • [111] 同判決、第151及び153節。
  • [112] 同判決、第152節。
  • [113] 同判決、第154節。
  • [114] 同判決、第154節以下。
  • [115] 同判決、第158節及び159節。
  • [116] 同判決、第158節。
  • [117] 同判決、第161節以下。
  • [118] 同判決、第162節。
  • [119] 同判決、第164節。
  • [120] 同判決、第165節。
  • [121] 同判決、第168節。
  • [122] 同判決、第169節。
  • [123] 同判決、第170節以下。
  • [124] 同判決、第171節。
  • [125] 同判決、paras. 173節以下。
  • [126] 同判決、第174節。
  • [127] 同判決、第175節以下。
  • [128] 同判決、第177節以下。
  • [129] 同判決、第178節。
  • [130] 同判決、第180~183節。裁判所は、とりわけ、欧州委員会の決定(事件番号AT.39985 – Motorola)、水平的協力協定へのTFEU第101条の適用に関するガイドラインの通達(2011/C 11/01)、及びデジタル単一市場へのICT標準化優先性の通達(COM(2016) 176確定版)に言及した。
  • [131] 同判決、第167節。
  • [132] 同判決、第185節。
  • [133] 同判決、第92~102節。
  • [134] 同判決、第93節。
  • [135] 同判決、第94節。
  • [136] 同判決、第95節。
  • [137] 同判決、第97節以下。
  • [138] 同判決、第100節以下。
  • [139] 同判決、第99節。

Updated 7 4月 2021

Sisvel v Wiko

OLG Karlsruhe
9 12月 2020 - Case No. 6 U 103/19

A. Facts

The claimant, Sisvel, holds patents declared as (potentially) essential to the practice of the UMTS and LTE wireless telecommunications standards, which are subject to a commitment to be made accessible to users on fair, reasonable and non-discriminatory (FRAND) terms and conditions (standard-essential patents or SEPs). Sisvel also administrates a patent pool, comprising patents of several SEP holders, including Sisvel's own SEPs (patent pool).

The defendants are two companies that are part of the Wiko group (Wiko). [235] Wiko sells mobile phones complying with the LTE standard - among other markets- in Germany.

In June 2015, the patent pool informed Wiko for the first time about the need to obtain a licence. On 1 June 2016, Sisvel (as the patent pool's administrator) offered Wiko a portfolio licence, which also covered the patent in suit. Agreement was, however, not reached.

On 22 June 2016, Sisvel brought an action against Wiko before the District Court (Landgericht) of Mannheim in Germany (District Court) based on one patent reading on the LTE standard (infringement proceedings). Sisvel requested a declaratory judgment confirming Wiko's liability for damages on the merits, as well as information and rendering of accounts.

On 23 June 2016, Sisvel made an offer for a bilateral licence limited to its own SEP portfolio to the German subsidiary of Wiko. This offer was not accepted. Moreover, Wiko filed a nullity action against the SEP in suit before the German Federal Patent Court (nullity proceedings).

In October 2016, Sisvel extended the lawsuit. Claims for injunctive relief as well as the recall and destruction of infringing products were added to the other claims initially asserted.

On 11 November 2016, Wiko made a counteroffer to Sisvel. Some days prior to the oral hearing in the infringement proceedings, Wiko informed the Court that it had provided information to Sisvel and had also deposited a security amount for past uses.

On 8 November 2017, Sisvel made a new offer to Wiko with reduced royalty rates. Wiko did not immediately react to this offer.

On 22 December 2017, Sisvel asked the District Court to order a stay of the infringement proceedings, until the decision of the Federal Patent Court in the parallel nullity proceedings. Wiko agreed with Sisvel's motion. On 30 January 2018, the infringement proceedings were stayed.

On 9 February 2018, Sisvel sent a reminder to Wiko regarding the offer made on 8 November 2017. Wiko responded on 16 February 2018, requesting further claim charts and more time to examine the patents covered by the offer.

On 26 June 2018, during the stay of the infringement proceedings, Sisvel made another licensing offer to Wiko based on a new restructured licensing program (2018 offer). Along with the 2018 offer, Sisvel provided Wiko with claim charts regarding 20 selected patents and a list of existing licensees of both its new licensing program and two pre-existing programs. The list contained the date of the conclusion of each agreement as well as the agreed licence fees. The names of the licensees were, however, redacted.

Wiko did not react to the 2018 offer for more than three months. On 15 October 2018, following a respective reminder sent by Sisvel on 14 September 2018, Wiko replied, without, however, commenting the 2018 offer; it just referred back to its counteroffer dated 11 November 2016. Wiko also criticized the fact that Sisvel did not disclose the names of the existing licensees so far.

In response to that claim, Sisvel shared a draft Non-Disclosure Agreement (NDA) with Wiko on 22 October 2018, based on which it would be willing to disclose the names of the existing licensees. Wiko refused to sign the NDA proposed by Sisvel.

In October 2018, the Federal Patent Court upheld the SEP in suit in part. Subsequently, the District Court moved on with the infringement proceedings. After the end of the oral hearings in July 2019, Wiko made a new counteroffer to Sisvel and provided the latter with additional information. However, Wiko did not increase the amount of security deposited after its first counteroffer dated 11 November 2016.

In the beginning of September 2019, Sisvel set up an electronic data room containing redacted versions of Sisvel's existing licensing agreements with third parties and granted Wiko respective access rights. Wiko did not make use of this data room at any point in time.

On 4 September 2019, the District Court granted an injunction against Wiko and ordered the removal and destruction of infringing products from the market. It also confirmed Wiko's liability for damages on the merits and ordered Wiko to provide Sisvel with information required for the calculation of damages. Wiko appealed the decision of the District Court.

Shortly after the District Court rendered its decision, the term of the patent-in-suit expired. Sisvel, however, enforced the injunction granted by the District Court.

With the present judgment [236] (cited by http://lrbw.juris.de/cgi-bin/laender_rechtsprechung/list.py?Gericht=bw&GerichtAuswahl=Oberlandesgerichte&Art=en&sid=2b226ea73cc9637362d8e1af04a34d05), the Higher District Court (Oberlandesgericht) of Karlsruhe (Court) predominantly upheld the judgment of the District Court [237] .
 

B. Court's reasoning

The Court found that Wiko could not successfully raise a so-called 'FRAND-defence' based on an alleged abuse of market dominance (Article 102 TFEU) against the claims for injunctive relief and the recall and destruction of infringing products asserted by Sisvel. [238]

This question was still decisive in the present case, despite the fact that the patent-in-suit expired before the start of the appeal proceedings. The Court explained that the expiration of a patent affects only future acts of use (which, then, no longer constitute infringement): On the contrary, claims that had arisen prior to expiration based on acts of use during the lifetime of the patent are not impaired. [239] Whether claims were given before the expiration of the patent-in-suit is of particular importance, especially when the patent holder has enforced a (first-instance) judgment delivered in proceedings conducted within the term of protection of the patent, as it was the case here. [240]
 

Dominant market position

Having said that, the Court agreed with the finding of the District Court that Sisvel had a market dominant position in terms of Article 102 TFEU with respect to the patent-in-suit in the relevant time period prior to its expiration. [241]

The Court followed the District Court also insofar, as it confirmed that, by filing an infringement action, Sisvel had not abused its market dominance.
 

Notification of infringement

In the eyes of the Court, Sisvel had sufficiently notified Wiko about the infringement of the patent-in-suit prior to filing a court action. [242] The purpose of the notification of infringement is to draw the implementer's attention to the infringement and the necessity of taking a license on FRAND terms and conditions. [243] In terms of content, the notification must identify the patent infringed, the form of infringement and also designate the infringing embodiments. [243] Detailed technical or legal analysis of the infringement allegation is not required. [243] The production of so-called 'claim charts', which is common in practice, will, as a rule, suffice, but is not mandatory. [243] If the patent holder offers a portfolio licence, respective extended information duties occur. [243]

In the present case, it was not disputed that Sisvel had notified Wiko about the patent-in-suit prior to litigation. [244] As far as Wiko complained that no claim charts were presented before trial, the Court reiterated that no respective obligation of Sisvel existed. [245] What is more, the Court held that the court action initially filed by Sisvel, which did not include claims for injunctive relief and the recall and destruction of infringing products, could also be seen as an adequate notification of infringement. [244]
 

Willingness to obtain a licence

The Court then found that Wiko behaved as an unwilling (potential) licensee both prior and during the infringement proceedings [246] . The Court agreed with the assessment of the District Court that Wiko delayed the licensing negotiations between the parties with the goal to avoid taking a licence for as long as possible, in order to gain economic benefits. [247]

According to the Court, the 'expression of a general willingness to license' is not sufficient for assuming that an implementer is a 'willing licensee'. [248] Moreover, the implementer must 'clearly and unambiguously' declare willingness to conclude a license agreement on FRAND terms, 'whatever FRAND terms may actually look like" [248] . The respective declaration must be 'serious and unconditional'. [248]

The Court highlighted that for the assessment of willingness the overall facts and the particular conduct of the implementer shall be taken into account. [248] Willingness is not 'static': the finding that an implementer was willing (or unwilling) at a certain moment in time does not remain unchanged henceforth. [248]

The implementer must always be willing to obtain a licence and participate in negotiations in a 'target-oriented manner'; since implementers might be inclined to delay negotiations until the expiration of the patent-in-suit, there is a need to make sure that their behaviour in negotiations will not lead to delays. [249] Moreover, it should be expected that a willing implementer would seek a license as soon as possible, in order to shorten the period, in which it makes use of the patent-in-suit or the SEP holder's portfolio without authorisation and without paying licensing fees. [250] Accordingly, a willing licensee would not consider the 'negotiation obligations' of the SEP holder primarily as a means to defend itself against a court action, but as a means to utilize in order to reach a FRAND agreement, if needed. [250]

In the view of the Court, the above requirements are in line with the Huawei v ZTE judgment (Huawei judgment or Huawei) [251] of the Court of Justice of the EU (CJEU). [252] In Huawei, CJEU focused on the will of the infringer to conclude a license agreement on FRAND terms and emphasized that the latter must not pursue 'delaying tactics'. The Court explained that, although in Huawei the requirement to refrain from 'delaying tactics' is expressly mentioned only with respect to the duty of the implementer to react to a licensing offer of the SEP holder, it applies 'at all times' as long as the implementer uses the patents without a licence; otherwise, the suspension of SEP holder's right to the injunctive relief cannot be justified. [253]

In this context, the Court pointed out that not every 'reluctant involvement' of the implementer in licensing discussions will necessarily allow for the assumption of unwillingness. [254] Such behaviour could be justified in individual cases, especially when the SEP holder does not act in a 'target-oriented' manner itself. [254] Nevertheless, implementers must, as a rule, react timely even to a belated action of the SEP holder. [254] Furthermore, implementers must, in principle, inform the SEP holder of any objections at an early stage and should not wait to raise those much later in court proceedings. [254]

Looking at Wiko's conduct, the Court criticized especially the fact that it became active mostly as a reaction to new developments in the pending infringement proceedings. [255] A willing implementer would have, however, sought a licence independently of the initiation of legal steps and independently of the course of litigation. [256] As an example, the Court highlighted the fact that Wiko's counteroffer dated 11 November 2016 was made only shortly after Sisvel extended the infringement suit by adding a claim for injunctive relief. [257] Wiko also provided information on past acts of infringement only a few days prior to the first oral hearing in February 2017 (and refrained from constantly updating this information afterwards, as it would be expected by a willing licensee). [258]

The Court identified also further facts that indicate that Wiko engaged in delaying tactics. [259] Wiko reacted to Sisvel's licensing offers made during the course of the proceedings always belatedly and only after a reminder by Sisvel (for instance, it took Wiko more than three months to react to the 2018 offer) [260] . It also demanded further claim charts in February 2018, years after the action was filed. [261]

Wiko's refusal to sign the NDA offered by Sisvel -despite multiple reminders of the latter- without providing any reasons was also considered as a sign of unwillingness. [262] According to the Court, it should be expected by a willing licensee, who is not interested in delaying negotiations, to swiftly raise any criticisms regarding an NDA proposed by the SEP holder in writing or by e-mail, and not wait to raise any concerns several months later in the infringement proceedings, as Wiko had done here. [263] The Court also considered the fact that Wiko did not access the electronic data room set up by Sisvel containing redacted versions of Sisvel's third party agreements as an additional indication of unwillingness. [264]

Furthermore, the Court clarified that -contrary to Wiko's view- school holidays and/or staff shortages cannot provide sufficient justification for delays in negotiations. [265] Even if such circumstances occur, a willing implementer would have communicated any obstacles immediately. [265] Wiko failed to do so.
 

SEP holder's offer

Since Wiko was found to have been an unwilling licensee, the Court explained that the question whether Sisvel fulfilled its duty to make and adequately elaborate a FRAND licensing offer, was no longer decisive. [266] In fact, no such duty had arisen in the present case, due to Wiko's unwillingness to obtain a licence. [266] Notwithstanding the above, the Court provided guidance on the content and extend of the respective obligation of the SEP holder.

The Court first explained that FRAND is a 'range', which leaves room for flexibility. [267] As a rule, FRAND is determined in bilateral good faith negotiations between SEP holders and implementers, taking into account the specific circumstances of each individual case [267] ; indeed, parties are best situated to determine the exact content of FRAND in a specific setting. [267]

In order to meet its obligation, an SEP holder must present an offer to a willing licensee, which 'in general' complies with FRAND requirements and is fair, reasonable and not discriminatory with respect to the 'average licensee'. [268] The SEP holder shall further explain its offer in a way that permits the licensee to understand the assumptions, on which the offered rate and further conditions are based. [269] The rationale behind this obligation is to create a sufficient basis of information for the implementer for assessing the offer and eventually formulating a counteroffer. [270]

In this context, the Court made clear that implementers should not expect that the SEP holder individually adapts its (first) offer to the specific circumstances of each particular case. [271] The SEP holder's FRAND commitment does not give rise to such obligation. [271] The (first) offer is intended to launch the negotiations and provide an adequate information basis to the implementer, who will then be in a position to suggest necessary amendments by means of a counteroffer. [271] Accordingly, it will regularly be acceptable that the SEP holder's offer is 'not clearly and evidently' non-FRAND and sufficient information was provided to the implementer. [272]

The Court dismissed the notion that the implementer is obliged to negotiate (and eventually) make a counteroffer, only when the SEP holder's offer was fully FRAND-compliant. [272] This would bring the negotiations to a stand-still and, therefore, conflict with the spirit of the Huawei judgment, which is to encourage the parties to reach agreement on the licensing terms. [273] Moreover, the Court explained that –irrespective of whether the offer triggers an obligation of the implementer to submit a counter-offer– the latter will be regularly required, at least, to analyse the SEP holder's offer in due course and express any objections and queries without delay. [274]

Against this background, the Court found that none of the offers made to Wiko during the infringement proceedings was 'clearly and evidently' non-FRAND. [275] The fact that the offers did not define the start of the contract or the amount of royalties payable for past uses was not considered problematic. [276] The Court also found that the royalty rates offered were not 'evidently non-FRAND', since they were sufficiently substantiated by reference to existing licensing agreements and calculated on basis of a 'top-down' method. [277] A need to calculate royalties on grounds of the costs that incurred for the creation of the patented invention (cost-based approach) was not given, since this factor was not relevant for establishing value. [278]

In addition, the Court did not raise any concerns against the fact that Sisvel's offer concerned a worldwide portfolio licence: On the one hand, agreements with such scope are common in the telecommunications industry. [279] On the other hand, Wiko had worldwide activities, so that a licence with a limited scope would not provide sufficient coverage. [279]

The fact that some of the patents included in Sisvel's portfolio were -allegedly- not standard-essential did not render the offers 'un-FRAND'. [280] The Court stressed that, for the purpose of licensing negotiations and the conclusion of a licence, it is not necessary to conclusively clarify whether each portfolio patent is standard-essential. [281] Implementers can reserve the right to challenge the validity and essentiality of affected patents even after the conclusion of a licensing agreement. [281]

Similarly, the Court had no objections against a clause placing the burden of proof with regard to the exhaustion of licenced patents on Wiko. [282] This rule corresponds with the common allocation of the burden of proof under German law and does not place unreasonable weight on the licensee, since it will be better situated to trace the licensing chain by engaging with its suppliers. [283]

The question whether an adjustment clause is necessary for an offer to be considered FRAND was left unanswered by the Court. [284] Such clause would allow the implementer to adapt the agreed royalties, in case that patents fall out of the scope of the licence (e.g. due to expiration or invalidation). The Court saw no need for a respective contractual provision, since the licences offered by Sisvel would expire and, therefore, be re-negotiated after five years. [284] The Court did not express any concerns against the term of the offered licence or the termination clauses contained therein, either. [285]

Furthermore, the Court made clear that Sisvel had adequately elaborated the licensing rates offered to Wiko. [286] In the infringement proceedings, Sisvel responded to the 'top-down' calculation of Wiko in detail and made relevant clarifications. [287] According to the Court, Sisvel was under no circumstances obliged to elaborate on a cost-based calculation of royalties, as requested by Wiko; such demand was considered just another means to delay negotiations. [288]
 

Implementers' counteroffer

The Court also found that the counteroffers made by Wiko during the course of the first instance infringement proceedings were not FRAND. [289]

The Court highlighted that the obligation of the implementer to submit a FRAND counteroffer to the SEP holder is already triggered, when the previous licensing offer of the latter is not 'clearly and evidently' non-FRAND and sufficient information was provided, enabling the implementer to formulate its counteroffer. [290]

Having said that, the Court took the view that the royalty rates which Wiko offered were very low and, thus, not FRAND-compliant. [291] The Court criticized especially the fact that the rates were significantly lower than the rates which were considered to be adequate in previous court decisions. [292] Notwithstanding the above, the Court explained that, even if Wiko's counteroffer had been FRAND, this would not change the conclusion that Wiko had acted as an unwilling licensee. [293] According to the Court, a willing licensee would not have submitted a counteroffer around one year after receipt of the SEP holder's offer, as Wiko did. [294]
 

C. Other important issues

The Court stressed that for generating pressure-free licensing negotiations during pending infringement proceedings, it will, as a rule, be sufficient, if the proceedings are stayed with a view to parallel nullity proceedings concerning the patent-in-suit. [295] This is particularly true, when the SEP holder takes the respective initiative, as it was the case here. [295] Nevertheless, even if a pressure-free negotiation situation is not given, the infringers is not released from the obligation to act in good faith and engage in licensing negotiations, for instance by analysing a licensing offer of the SEP holder. [295] The refusal of the infringer to act accordingly could, in the eyes of the Court, allow the conclusion that it is an unwilling licensee. [295]

Apart from that, the Court confirmed that Wiko had no legal ground for requesting full disclosure of Sisvel's third party agreements [296] . Even if one would recognize a duty of the SEP holder to share information about the core content of existing licensing agreements (that are still in force), it is questionable whether this duty would also extend to agreements signed by previous patent holders. [297] The Court expressed particular doubts that this applies in cases in which a portfolio was assembled from patents acquired from different patent holders, since the relevance of bilateral or pool licensing agreements of the former patent holder can be limited in this case. [298]

Furthermore, the Court expressed the view that under German law a so-called 'covenant not to sue' does not have the effect of a (royalty-free) licence: such agreements will, as a rule, have only a procedural effect in terms of a pactum de non petendo, excluding only the initiation of court proceedings. [299]

Finally, the Court denied Wiko's motion to order a stay in the appeal proceedings due to the recent referral of several questions regarding the interpretation of the Huawei framework to the CJEU by the District Court of Düsseldorf in the matter Nokia v Daimler [300] . [301] According to the Court, it appears unlikely that the CJEU will establish criteria, by which SEP-based court actions against implementers engaging in delaying tactics would amount to an abuse of market dominance. [302]
 

  • [235] The action was extended to a third defendant, an individual person, who had served as a managing director for both aforementioned companies.
  • [236] Sisvel v Wiko, Higher Regional Court Karlsruhe, judgment dated 9 December 2020, Case-No. 6 U 103/19
  • [237] The claims for injunctive relief, rendering of accounts and damages asserted against the former managing director of the two Wiko companies were limited to the period of time until the end of its tenure; ibid, paras. 265-288.
  • [238] Ibid, para. 289.
  • [239] Ibid, paras. 284 et seqq.
  • [240] Ibid, para. 287.
  • [241] Ibid, paras. 290 et seq. Insofar, the Court made clear that a market dominant position ceases to exist after the expiration of the relevant patent.
  • [242] Ibid, paras. 292 et seqq.
  • [243] Ibid, para. 293.
  • [244] Ibid, para. 297.
  • [245] Ibid, paras. 297 et seq.
  • [246] Ibid, para. 299.
  • [247] Ibid, para. 299 and paras. 320 et seqq.
  • [248] Ibid, para. 301.
  • [249] Ibid, para. 302.
  • [250] Ibid, para. 303.
  • [251] Huawei v ZTE, Court of Justice of the EU, judgment dated 16 July 2015, Case-No. C-170/13.
  • [252] Sisvel v Wiko, Higher Regional Court of Karlsruhe, judgment dated 9 December 2020, para. 304.
  • [253] Ibid, para. 304.
  • [254] Ibid, para. 305.
  • [255] Ibid, paras. 321 et seqq.
  • [256] Ibid, para. 321.
  • [257] Ibid, para. 322.
  • [258] Ibid, paras. 323 et seq.
  • [259] In addition, the Court found that Wiko’s lack of willingness to obtain a license is also manifested in the fact that it (i) attempted to impede the enforcement of the first instance ruling of the District Court by questionable means (para. 335) and (ii) did not accept the offer of the District Court of The Hague, in which proceedings between the parties were pending in parallel, to engage in settlement negotiations (para. 336).
  • [260] Ibid, paras. 325, 328 and 331.
  • [261] Ibid, para. 327.
  • [262] Ibid, paras. 333 et seqq.
  • [263] Ibid, paras. 334 and 338.
  • [264] Ibid, paras. 337 and 341 et seqq.
  • [265] Ibid, para. 330.
  • [266] Ibid, para. 342.
  • [267] Ibid, para. 307.
  • [268] Ibid, para. 308.
  • [269] Ibid, paras. 308 and 310.
  • [270] Ibid, para. 309.
  • [271] Ibid, para. 310.
  • [272] Ibid, paras. 311 et seqq.
  • [273] Ibid, paras. 311 and 313 et seqq.
  • [274] Ibid, paras. 316 et seqq.
  • [275] Ibid, para. 352.
  • [276] Ibid, para. 353.
  • [277] Ibid, paras. 354 et seqq.
  • [278] Ibid, para. 358.
  • [279] Ibid, para. 359.
  • [280] Ibid, para. 360.
  • [281] Ibid, para. 361.
  • [282] Ibid, para. 362.
  • [283] Ibid, para. 363.
  • [284] Ibid, paras. 365 et seqq.
  • [285] Ibid, paras. 367 et seqq.
  • [286] Ibid, para. 366.
  • [287] Ibid, para. 344.
  • [288] Ibid, para. 346.
  • [289] Ibid, paras. 379 et seqq.
  • [290] Ibid, para. 311.
  • [291] Ibid, paras. 379 et seqq.
  • [292] Ibid, para. 380.
  • [293] Ibid, para. 378.
  • [294] Ibid, para. 384.
  • [295] Ibid, para. 348.
  • [296] Ibid, para. 389.
  • [297] Ibid, paras. 389 et seq.
  • [298] Ibid, para. 391.
  • [299] Ibid, paras. 260 et seqq.
  • [300] Nokia v Daimler, District Court of Düsseldorf, order dated 26 November 2020, Case No. 4c O 17/19.
  • [301] Sisvel v Wiko, Higher Regional Court of Karlsruhe, judgment dated 9 December 2020, para. 395.
  • [302] Ibid, para. 395.

Updated 20 10月 2020

Sisvel v Wiko

LG Mannheim
4 9月 2019 - Case No. 7 O 115/16

A. 内容

原告Sisvelは、公平、合理的かつ非差別的(FRAND)な条件にて規格実施者に利用を認めるとの約束に基づき、UMTS及びLTE無線通信の規格に必須である(と見込まれる)と宣言された特許を保有している(標準必須特許又はSEP)。Sisvelは、自らのSEPを含め、複数のSEP保有者の特許で構成されるパテントプールを管理している(パテントプール)。

被告は、Wikoグループのフランスに所在する親会社及びドイツに所在する子会社(Wiko)である。Wikoは、LTE規格を実施する携帯電話を特にドイツにおいて販売している。

2015年6月、Sisvelは、パテントプールの存在及びライセンス取得が必要である旨をWikoに通知した。両当事者は、ライセンス契約の協議に入った。Sisvelは、パテントプールに含まれるSEPの情報について、その複数の特許の規格必須性を示したクレームチャートを添えてWikoに提出した。2016年6月1日、Sisvelは、当該パテントプールを対象とするライセンスについてWikoに申出を行ったが、合意には至らなかった。

2016年6月22日、Sisvelは、1つの特許がLTE規格に抵触していることに基づき、Wikoを相手方として、ドイツのマンハイム地方裁判所(本裁判所)に訴訟を提起した(権利侵害訴訟)。Sisvelは、実体的事項に関するWikoの損害賠償責任を確認する宣言的判決とともに、情報及び計算書の提出を求めた。 2016年6月23日、Sisvelは、Wikoのドイツ子会社に対して自己のSEPのみを対象とする双務的ライセンスをオファーしたが、このオファーは、承諾されなかった。さらにWikoは、SEPの無効確認を訴えて、ドイツ連邦特許裁判所に訴訟を提起した(無効確認訴訟)。

2016年10月4日、Sisvelは、侵害訴訟での訴えを変更し、差止命令による救済手段、並びに侵害性を有する製品の市場からの排除及びその後の破棄を追加的に求めた。

2016年11月11日、WikoはSisvelにカウンターオファーを申し出た。その後、Wikoは、当該カウンターオファーに従い、保証金及び情報をSisvelに提供した。

訴訟手続中に、Sisvelは、プールライセンスに関し、ロイヤルティ料率を含めた新たな申出をWikoに行った。Wikoはこれについても拒絶した。2017年12月22日、Sisvelは、並行して行われていた特許の無効確認訴訟においてドイツ連邦特許裁判所によるSEPの有効性にかかわる判断が下るまで、権利侵害訴訟手続の停止を命じるよう本裁判所に申し立てた。Wikoは、Sisvelの申立てに同意した。2018年1月30日、権利侵害訴訟手続の停止が本裁判所により命じられた。

2018年6月26日、権利侵害訴訟手続の停止中に、Sisvelは、自らが策定した、新たな内容のライセンスプログラムに基づき、あらためてWikoにライセンスオファーを申し出た(2018年オファー)。

2018年オファーと同時に、Sisvelは、―とりわけー選定した20件の特許に関するクレームチャート及び新規ライセンスプログラムと既存の2つのプログラム双方の既存のライセンシーのリストをWikoに提供した。当該リストには、各契約の締結日と合意されたライセンス料が記載されていた。しかし、ライセンシーの名は黒塗りされていた。

Wikoは3か月超にわたり2018年オファーに対応しなかった。2018年10月15日、WikoはSisvelに回答したが、2018年オファーの内容に対しては意見を述べず、2016年11月11日付のカウンターオファーを引用するにとどまった。さらにWikoは、Sisvelが2018年オファーの際に提出したリストの中で既存のライセンシーの名を開示しなかったことを批判した。

この主張に応じ、Sisvelは、2018年10月22日、Wikoに秘密保持契約(NDA)の草案を送付した。Sisvelは、WikoがNDAに署名する時点で既存のライセンシーの名を開示するつもりであった。しかしながら、Wikoは、Sisvelから提案されたNDAに署名することを拒否した。

2018年10月、ドイツ連邦特許裁判所は、係争中のSEPを部分的に認めた。爾後、本裁判所は、権利侵害訴訟手続に取り掛かり、特にFRAND関連問題について協議した。

2019年7月の口頭審理終了後、WikoはSisvelに新たなカウンターオファーを申し出、追加情報をSisvelに提供した。しかしWikoは、2016年11月11日付の初回のカウンターオファー後には、保証金額を増額しなかった。

本判決において [421] 、本裁判所は、Wikoに差止命令を下すと共に、侵害性を有する製品を市場から排除し、滅失させるよう命じた。さらに本裁判所は、実体的事項に関するWikoの損害賠償責任を確認し、損害額の算定に必要な情報をSisvelに提供するようWikoに命じた。


B. 判決理由

本裁判所は、Wikoの製品が係争中の特許を侵害していると認めた [422] 。係争中の特許の必須性は、両当事者間で争われなかった [423]

さらに本裁判所は、EU機能条約(TFEU)第102条により、Sisvelが差止命令による救済手段及び権利侵害訴訟において侵害性を有するとされる製品のリコール及び破棄を求める請求権の行使を妨げられるものではないと判示した。Wikoは現訴訟の申立てにより、SisvelがTFEU第102条に反して市場での支配的な地位を濫用していたと異議を申し立てた。

本裁判所の見解によれば、SisvelはHuawei対ZTE事件 [424] においてEU司法裁判所(CJEU)が定めた行動義務(Huaweiフレームワーク又は義務)を履行していたため、本件は支配的な地位の濫用にあたらない。これに対しWikoは、Huaweiフレームワークを遵守していなかった。

Huaweiフレームワーク

これまでの判例法から外れて、本裁判所は、権利侵害訴訟手続の過程で両当事者がHuawei義務を是正することが可能であるとの見解を示した [425] 。しかしながら、これには、CJEUにより要請される通り、両当事者間で圧力のない協議ができるようになることが必要である。このため、両当事者は、並行する無効確認訴訟において連邦特許裁判所の決定がなされるまで、審理停止の申立て [426] 又は同意を得た上での手続停止等の利用可能な手続文書を使用して、訴訟手続の一時停止を求めなければならない [427]

上記を背景に、本裁判所は、権利侵害訴訟手続開始後Huaweiフレームワークに基づき情報開示義務の是正を求めるSEP保有者に対し、審理停止を申し立てるよう求めた [427] 。当該申立てがなされた場合には、「誠実意思を有する実施者は訴訟手続停止に同意するであろう」と本裁判所は期待している [427]

本裁判所は、係争中の権利侵害訴訟手続の過程でHuawei義務の欠点を是正する機会を両当事者に与えることは、英国控訴院(Unwired Planet対Huawei) [428] とハーグ控訴裁判所(Philips対Asus) [429] の双方で採用された「セーフハーバー」方式に準じていると述べた。上記裁判所はいずれも、Huaweiフレームワークについて厳密に実施すべき強制的な正式手続とみなしておらず、したがって、CJEUにより定められた協議の枠組みから逸脱したとしても、必ずしも、特許保有者による差止命令の請求を排除する濫用的な行動にはあたらない [430] 。さらに、これに該当するかどうかは、ケースバイケースで評価する必要がある [431]

権利侵害通知

その上で本裁判所は、Sisvelが係争中のSEPの侵害について権利侵害訴訟手続開始前にWikoに通知するHuawei義務を履行していたと認めた。

SEP保有者の各通知の内容に関し、本裁判所は基本的に、従前の決定と同じ要件を適用した。本裁判所は、当該通知において (1) 係争中の特許についてその特許番号を含めて記載し、(2) 当該特許が規格に必須として関連標準化機関に宣言されていることを通知し、(3) どの規格について当該特許が必須であるのかを示し、かつ、(4) 実施者の製品又はサービスのうち当該規格を実施する技術的機能を説明しなければならないと認めた [432] 。適切とする詳細の水準については、ケースバイケースで判断する [432] 。本裁判所は、原則として、特許保有者が、SEPライセンス許諾の交渉において慣習的に用いられるクレームチャートを実施者に提供することにより、その通知義務を履行したことになる旨を確認した [432] 。本裁判所はさらに、企業グループの親会社に通知が送付された場合、通常、Huaweiフレームワークにおいて十分であることを再確認した [432]

SEP保有者の申出

本裁判所は、SisvelがまたWikoに対して書面による明確なFRAND条件でのライセンスの申出を行うHuawei義務を履行していたことも認めた。各評価に関し、本裁判所は、権利侵害訴訟手続停止中にSisvelからWikoに対してなされた最後の申出である2018年オファーのみを検討した [433]

まず、本裁判所は、どの具体的なライセンス料や追加的な契約条件がFRANDの「客観的側面に該当する」のかについて、侵害を管轄する裁判所がこれを判断する義務を負うものではないとする自らの立場を重ねて強調した [434] 。カールスルーエ高等地方裁判所(superior Higher District Court of Karlsruhe)が以前に示した見解に反し、本裁判所は、CJEUが差止命令及び製品リコールに関する訴訟手続についてFRAND条件の「正確な数量的判断(precise mathematical determination)」を「負わせる」つもりはなかったとの考えを支持した [435] 。さらに、FRANDへの該当が見込まれる条件には「幅」があるため、差止命令の要求がTFEU第102条に抵触するのは、特段の交渉状況及び市況に鑑みて、SEP保有者の申出が「搾取的な濫用」にあたるような場合に限られる [434] 。すなわち、本裁判所の認識は、英国控訴院のUnwired Planet対Huaweiと共通であった [428]

上記にかかわらず、本裁判所は、権利侵害を管轄する裁判所がSEP保有者のライセンスの申出がFRANDに適合するか否かにつき、単なる「表面的」な評価ではなく、それ以上の評価を行うべきであることを明確にした。権利侵害を管轄する裁判所は、具体的な申出の全体的な内容について、両当事者の交渉上の立場における典型的な当初の違いにかかわらず、誠実に行為する実施者に対し当該申出に応じることを要求するものであるか否かを検討しなければならない [436] 。原則として、このような義務は、SEP保有者が自らの申出がFRAND条件での申出であると判断する理由を立証する方法でロイヤルティの算定を説明する場合に生じる [437] 。プールライセンシングプログラム又は標準ライセンシングプログラムが存在する場合は、通常、各プログラムが市場で受け入れられていることを立証すれば十分である。プールごとに十分な数のライセンスが許諾されている場合、特許保有者は、当該プールに包含される特許に言及した適切な数量のクレームチャートを提示して、当該プールの構成を概説すれば良い [438]

この状況において、本裁判所は、特許保有者の申出がFRANDに適合するか否かに関し実施者が申立てをする場合、原則として、個別の契約条項の違法性(の主張)を根拠として申立を行うことができない旨を指摘した。さらに、申出がFRANDに適合しているか否かについては、包括的な契約の概要に基づき評価しなければならない [439] 。例外が適用されるのは、特定の条項が「容認できない効果(unacceptable effect)」を有する場合に限られる [439] 。本件において、本裁判所は、2018年オファーのいずれの条項にもこのような効果がないと判断した [439] 。 とりわけ、本裁判所は、ライセンシー(ここではWiko)に申し出がなされたライセンスの対象たる特許の消尽に関する立証責任を定めた条項が許容されると判断した [440] 。同様の事件におけるデュッセルドルフ地方裁判所の見解とは対照的に、本裁判所は、ライセンシーがサプライヤーを関与させることによりライセンス網を追跡しやすい立場にあることから、関連の事実を確証するようライセンシーに要請することが適切であると論じた [440]

また、本裁判所は、提示されたライセンスの期間を5年に制限する条項が反トラストの観点から「容認できない効果(unacceptable effect)」を有するとは判断しなかった。本裁判所は、その5年の期間について、急速な技術の発展を特徴とする無線通信業界において実勢的な慣行に準じたものであると判示した [441]

さらに本裁判所は、ライセンシーによる報告義務の違反や30日を超える支払遅延が生じた場合のライセンス契約の例外的な終了を求める権利を定めた条項について、上記の「容認できない効果(unacceptable effect)」がないことを指摘した [441]

本裁判所は、2018年オファーにおいて、契約期間中、対象特許の数に変更が生じた場合に合意済みロイヤルティ料率の調整について定めた条項が含まれていなかったことに異議を唱えなかった。本裁判所の見解によれば、FRAND条件でのライセンスに当該条項を含めることは求められていない [441] 。しかしながら、プールを構成する特許の多数がライセンス期間締結後間もなく満了する場合には、例外が認められるべきである [441] 。一般的に、ライセンスの申出において、契約目的の履行不能性を理由にライセンスの調整を要請する両当事者の制定法上の権利(ドイツ民事法典第313条1項)が制限又は排除されていない場合には特に、「調整」条項がなくとも問題にならない [441]

非差別性/秘密保持

FRANDライセンスの申出の非差別的要素に関して、本裁判所は、TFEU第102条においては、係争中の権利侵害訴訟手続において、被告に対する申出が同様の状況に置かれた競業者に比べて被告を差別するものでないことを証明する特許保有者の義務(二次的な)が定められているとの見解を示した [438]

上記にかかわらず、本裁判所は、いかなる事例においても上記の義務が法的に「全面的な透明性」を伴うわけではないことを明確にした [438] 。SEP保有者の反トラスト義務により、法的保護に値する被告の秘密保持上の権利が常に重視されるものではない。さらに言えば、個々の事例の特別な状況により、秘密性を保護しなければならない可能性がある [438]

本裁判所は、SEP保有者と同様の状況に置かれた第三者たるライセンシーとの間の既存のライセンス契約(類似契約)に定められた情報を特段に参照した上で、当該契約を開示する特許保有者の義務については、侵害を管轄する裁判所により、訴訟手続における両当事者の訴答を考慮した上で、ケースバイケースで判断されるべきであるとの見解を示した [438]

本裁判所によれば、特許保有者は、保護されるべき秘密保持上の権利の存在を確立しなければならない。類似契約に秘密保持条項が適用されるというだけでは、本来的には、特許保有者の開示義務の範囲を制限する根拠とはならない [442] 。これに対し被告は、特許保有者のライセンスの申出がFRANDに該当するか否かを評価するに際し、要請した情報が必要であった理由を説明しなければならない [442] 。被告は、SEP保有者の差別的と見られる行動を示し、具体的な事実を確証しなければならない [443]

この点を考慮し、本裁判所は、いかなる場合においてもSEP保有者が権利侵害訴訟手続において既存の類似契約書すべてを提出する義務を負うとのデュッセルドルフ裁判所の見解に異議を申し立てた [444] 。とりわけ、特許保有者が実施者との間で標準的なライセンス契約のみを締結している場合、当該契約の条件が公開されているのであれば、本裁判所には、訴訟手続において(膨大な)同一の契約書を提出する義務を特許保有者に負わせる理由がない。すなわち、それまでに締結した(標準的な)ライセンス契約の件数を開示すれば十分である [444]

したがって、本裁判所は、2018年オファーに際しSisvelからWikoに提出された既存ライセンシーのリストについて、ライセンシーの名が黒塗りされていたとしても、当該オファーのFRAND該否の確証に十分であったと認めた。本裁判所の見解において、Wikoは、2018年オファーのFRAND該否を評価するために既存ライセンシーの身元情報が必要であった理由を説明していなかった [445] 。さらに本裁判所は、Wikoが既存ライセンシーの身元開示を目的として訴訟手続が停止されている間、Sisvelから提示されたNDAの締結を拒絶していた事実も考慮した [446] 。2018年オファーのFRAND該否に異議がなかったため、本裁判所は、WikoによるNDAの締結の拒絶がHuaweiフレームワークを準拠する意思のないこととみなされるかどうかについて判断を下さなかった。しかしながら、本裁判所は、実施者が適切なNDAの締結を拒絶した場合は原則としてこれをSEP保有者の申出の評価に関連して検討すべきとの、この点に関しデュッセルドルフ裁判所が示した見解に同意した [446]

さらに、本裁判所は、ドイツ民事訴訟手続法(Zivilprozessordnung, ZPO)第142条に従い管轄裁判所により発せられた文書提出命令を通じ、権利侵害訴訟手続において類似契約の使用を促す可能性についても検討した [443] 。このオプションは、特に、類似契約に定められた秘密保持条項により、裁判所命令が発せられた場合に限り契約の開示が認められる個別の事例において侵害を管轄する裁判所により検討される。本裁判所によれば、当該秘密保持条項は、それ自体では反トラスト法に反するものでないことから、特許保有者が訴訟手続において保護に値する秘密保持上の利益を確証できない場合を除き、尊重されるべきである [443] 。特許保有者が、秘密保持条項の拘束を受け、審理に際し類似契約書を提出する意思がある場合には、侵害を管轄する裁判所は、各案件の具体的な状況に基づき、ZPO第142条に従い文書提出命令を発する [443] 。特許保有者が当該命令に従わない場合、当該裁判所は、Huaweiフレームワークにおける両当事者の行為を全体的に評価する上で、その行動を不誠実さの顕れであると判断する場合がある [443] 。ZPO第142条に従い発せられた裁判所命令に基づき類似契約書の閲覧が認められた後、実施者が訴訟手続停止に同意しない場合も、同様に適用される [443]

実施者のカウンターオファー

本裁判所は、WikoがSisvelに対し、正当な過程でFRAND条件の対案(カウンターオファー)を行うHuawei義務を履行していなかったと認めた。各評価に関し、本裁判所は、2018年オファーに対するWikoの対応に注目した [447]

本裁判所は、申出がFRANDに該当するとみなしているか否かにかかわらず(通常はあてはまる)、実施者が具体的な事実に基づき、SEP保有者のライセンスオファーに対応する義務を負っていると明言した [443] 。さらに、実施者は、各事例の事実、特定分野での業界慣行及び誠実な原則を検討の上、可能な限り早急に対応しなければならない [427]

Wikoが3か月を超える期間、2018年オファーに一切対応しなかったことに鑑み、本裁判所は、Wikoが上記の義務に違反すると判示した [423] 。本裁判所の見解では、Wikoは時間の引き延ばし戦術をとったとされる [423] 。本裁判所は、フランスの休校期間や、(Wikoの陳述によれば)ライセンス関連業務を担当した従業員がわずか2名であったという事実が、Wikoによる対応の遅延の十分な根拠になるとは認めなかった [447] 。国際的な業務に携わる会社として、Wikoは、今後、各問題に対処できるよう十分な人材を確保すべきである [447]


C. その他の重要事項

差止命令並びに侵害性を有する製品の市場からの排除及び破棄を求めたSisvelの請求とは別に、本裁判所は、実体的事項に関するWikoの損害賠償責任を認め、宣言的判決を下した [448]

本裁判所は、Wikoが係争中の特許を著しく侵害したと判断した。とりわけ、Wikoは、少なくとも過失的行為をなした [448] 。Wikoは、極めて複雑な標準化技術(特に、規格に組み込まれる膨大な数の特許)が極めて複雑であるため、知的財産権に関する状況を評価することが困難になった(よって、過失を除外すべき)と主張した。しかしながら本裁判所は、基盤となる技術がより一層複雑になったために、実施者側に対するデューディリジェンス要件がさらに拡大したことを明言した [449]

  • [421] Sisvel対Wiko、マンハイム地方裁判所2019年9月4日、事件番号7 O 115/16。
  • [422] 同判決、17~31頁。
  • [423] 同判決、46頁。
  • [424] Huawei対ZTE、EU司法裁判所2015年7月16日判決、事件番号C-170/13。
  • [425] Sisvel対Wiko、マンハイム地方裁判所2019年9月4日、事件番号7 O 115/16、42頁。
  • [426] 同判決、43頁及び51頁以下。
  • [427] 同判決、42頁。
  • [428] Unwired Planet対Huawei、英国控訴院2018年10月23日判決、[2018] EWCA Civ 2344、第282節。
  • [429] Philips対Asus、ハーグ控訴裁判所2019年5月7日、事件番号200.221 .250/01。
  • [430] Sisvel対Wiko、マンハイム地方裁判所2019年9月4日、事件番号7 O 115/16、44頁。
  • [431] 同判決、44頁。
  • [432] 同判決、37頁。
  • [433] 同判決、47頁及び53頁。
  • [434] 同判決、38頁。
  • [435] 同判決、37頁。以下。
  • [436] Sisvel対Wiko、マンハイム地方裁判所2019年9月4日、事件番号7 O 115/16、39頁。
  • [437] 同判決、39頁。
  • [438] 同判決、40頁。
  • [439] 同判決、53頁。
  • [440] 同判決、54頁。
  • [441] 同判決、55頁。
  • [442] 同判決、40頁及び49頁。
  • [443] 同判決、41頁。
  • [444] 同判決、49頁。
  • [445] 同判決、50頁。
  • [446] 同判決、51頁。
  • [447] 同判決、47頁。
  • [448] 同判決、35頁。
  • [449] 同判決、35頁以下。