Huawei対ZTE事件CJEU判決後の判例法
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各国裁判所でのガイダンス


ヨーロッパにおける必須特許のライセンス交渉

Huawei 対ZTE事件の欧州連合司法裁判所によって確立された原則に基づく向上した明確性。

欧州連合司法裁判所は、Huawei 対ZTE事件(ケース番号C-170 / 13)で、FRANDベースの標準必須特許の侵害に対する差止命令による救済の利用可能性に関して、欧州法を明確にしました。そうすることで、裁判所は、両当事者に期待される誠実な行動に焦点を当てた法的枠組みを提供しました。 2015年の裁判判決以来、各国裁判所はこれらの義務の範囲を着実に探究しており、適切な行動と見なされるものと見なされないものをさらに明確にしています。以下は、4iP CouncilのHuawei 対ZTE事件後のケース検索ツールから引き出されたこれらのステップの要約です。

この情報は法律上の助言を目的としたものではなく、紛争が生じた場合は、独立した助言を求める必要があります。さらに、これらの判決の先例としての性質は、それらが示された管轄および状況に依拠します。

Huawei対ZTE事件プロセス

 

2019年12月現在

キーワード
解釈
参照判例

ステップ 1

侵害の通知

ドイツ

SEP保有者からの侵害の通知には、書面によるFRAND宣言の原本もFRAND宣言が標準の開発中になされたとの証明も含める必要はない。ただし、SEP保有者が FRANDライセンスへのコミットメントにより拘束されることに疑いの余地を残していない場合に限る。

ドイツ

SEP保有者からの侵害の通知は、 (1)侵害された特許を(その数を含めて)特定し、(2) その特許について標準必須の宣言がなされている旨を伝え、(3)該当する標準の名称を記し、(4)実施者がその特許による教示を使用していることを伝え、更に、 (5)訴えられた実施形態のどの技術的機能に当該特許が使用されているかを示さなければならない。詳細の程度は、その事件に特有の状況、特に、実施者の技術的知識(又は、合理的努力により得られる外部の専門知識の可用性)による。 しかし、特許侵害訴訟では、かかる情報が特許請求の際に提出された事実と同程度に具体的である必要はない。通常、クレームチャート の参照で足りる。

ドイツ

SEP保有者からの侵害の通知は、訴訟提起の前に出す必要があり、遅くとも SEP保有者が費用の前払いを行う前に出さなければならない。当該通知には、少なくとも(1)特許の数、 (2) 争われる実施形態、及び(3)実施者が行っているとされる使用行為を記載しなければならない。裁判所は、例えば、特許請求の解釈又は標準のどの部分に当該特許が対応するかについての情報などの追加情報も必要とされるか否かについては判断を下さなかった。第三者がFRAND条件でのライセンス許諾の要請をSEP保有者に提出しない限り、SEP保有者には第三者(例えば実施者のサプライヤー)に特許侵害について通知する義務はない。

ドイツ

侵害の通知は、 SEP保有者自体が出しても良いが、同じ企業グループ中の別の関係会社(特に特許保有者の親会社)が出してもよい。一般に、侵害者である(とされる)会社の親会社に宛てた通知で十分である。通知には、係争中の特許の名称(特許の数を含む)を記さなければならず、争われている実施形態及び侵害である(とされる)使用行為について記載しなければならない。侵害についての(技術的及び/又は法的に)詳細な説明は必要とされない。SEP使用者は、関連する標準における当該特許の必須性について情報を提供すること及び/又は通知にクレームチャートを添付することも求められない。通知は、(訴訟提起の前に)SEP保有者からSEP使用者へのFRANDライセンスのオファーと共に行うこともできる。

ドイツ

SEP保有者が侵害にあたるSEP使用の実施者に対して通知を出す義務は、 該当する通知を侵害者(とされる)会社の親会社に宛てて出すことによっても充足される。

ドイツ

侵害の通知は、企業グループ内の親会社がグループレベルで ライセンシング関連事項を扱っている場合には、通常、親会社に宛てたもので十分である。

ドイツ

企業グループ内の親会社が影響を受ける子会社に侵害の通知を転送しないとの意思表示が存在しない限り、通常、侵害の通知は親会社に宛てたもので十分である。

ドイツ

また、通知は、パテントプールが運営する特許のライセンシングについて訴訟の遂行権限を有する場合には、パテントプールから発出することもできる。

ドイツ

通知は、「無意味な形式的行為(pointless formality)に該当するのであれば(例えば、当該事件の全体的状況からみて使用者が既に侵害を認識していると間違いなく推定できる場合など)、必要とされない。

ドイツ

企業グループ内の親会社が影響を受ける子会社に侵害の通知を転送しないとの意思表示が存在しない限り、通常、侵害の通知は親会社に宛てたもので十分である。

ドイツ

また、通知は、パテントプールが運営する特許のライセンシングについて、そのパテントプールが訴訟の遂行権限を有する場合には、パテントプールから発出することもできる。

ドイツ

通知は、「無意味な形式的行為(pointless formality)に該当するのであれば(例えば、当該事件の全体的状況からみて使用者が既に侵害を認識していると間違いなく推定できる場合など)、必要とされない。

ドイツ

張する)侵害行為を示さなければなりません。 侵害の詳細な(技術的および/または法的)説明は必要ありません。

ドイツ

パテントプールが、管理されている特許のライセンスに関して法的措置を講じる権限がある場合は、パテントプールから通知を送信することもできます。

ドイツ

「無意味な形式」に過ぎない場合、通知は必要ありません。 例えば、-ケースの全体的な状況に鑑みて-ユーザーはすでに侵害に気付いていると確実に推測できる場合

フランス

SEP保有者からの侵害の通知には、以下の情報を含めなければならない。(1)概要(各SEPとその出願日を含む)、(2)各特許技術を実施する当該標準の部分、【(4)】かかる使用を具現化している装置の記載、(4)無許可の使用行為による影響の記載、及び (5)記載された情報及び問題の特許の有効性に同意するオプションを通知の受領者に与えることについての情報

イタリア

実施者の親会社に宛てた侵害の通知は、SEP保有者が実施者に対してのみ訴訟を提起する場合にはHuawei要件を満たさない。

英国

侵害の通知は、実施者に対する侵害訴訟を提起する前にSEP保有者が満たさねばならない必須条件である。かかる通知の正確な内容は、特定の事件の全状況による。実施者は技術的詳細や侵害している可能性のあるSEPについて精通しているがFRANDライセンスを受ける意思がない場合、一般に、SEP保有者は、侵害訴訟の提起前に正式な通知を行っていなかったとの理由のみにより差止請求を行う権利を否定されるべきではない。

オランダ

(1) 侵害を受けている(とされる)特許の数、(2)関連する標準、及び(3)問題の特許を侵害している(とされる)製品の名称と数についての情報、並びに(3) FRAND条件でライセンスをオファーする意思の宣言を提供することにより、特許保有者はHuawei フレームワークに基づく自らの通知義務を充足する。

クレームチャート

ドイツ

クレームチャートを実施者に提示することは、商慣習上でもライセンシング交渉にクレームチャートが用いられるため、侵害の通知を行う上で適切な方法である。

ドイツ

通例のクレームチャート(該当する特許請求とそれに対応する標準の部分を記載したもの)を実施者に提示することは、侵害の通知を行う上で適切な方法である。

ドイツ

SEP保有者には、侵害の通知と同時にクレームチャートを送る義務はない。

キーワード
解釈
参照判例

ステップ 2

(ライセンス契約を締結する)意思

英国

Huawei要件の「ライセンス契約を締結する意思(willingness to enter into a license)」とは、無条件の意思を意味する。言い換えれば、ライセンスを受ける意思を有する実施者(willing licensee)は、FRANDの条件が実際にどのようなものであれFRANDライセンスを受ける意思を有していなければならない。

ドイツ

FRANDライセンスを交わす意思を機器製造会社が宣言した場合、SEP保有者の求める当該機器販売会社への差止命令の裁定が排除される可能性がある。

ドイツ

特定の事件の状況を考慮すれば、FRANDライセンスを受ける意思のSEP使用者による宣言は黙示による可能性さえもある。SEP使用者がライセンスを受ける意思を宣言しなければならない時間枠は、事件毎に異なる。SEP保有者からの侵害の通知が必要最低限の情報しか記載していない場合、5ヶ月以内あるいはより速く3ヶ月以内の応答が求められる可能性がある。
侵害通知に必要最低限を超える情報が記載されている場合、一定の状況下ではSEP使用者が更に早い応答を求められる可能性もある。

ドイツ

裁判所は、原則として、実施者が係属中の侵害訴訟の過程において行ったライセンス契約締結意思の宣言を考慮するべきである。ただし、このことは、かかる宣言が非常に遅い時点(例えば、口頭弁論の終了直前など)でなされた場合には当てはまらない。

ドイツ

通常、一般的(かつ非公式な)言明は、ライセンスを受ける意思の表示として十分である。

ドイツ

特定のケースの状況を考えると、SEPユーザーの誠実意思の宣言は暗黙的にも行うことができます。 いずれにせよ、ライセンスを取得する「本物の」誠実意思を実証する必要があります。 このためには、実装者の行動全体を評価する必要があります。

ドイツ

「建設的な発言」なしで同じトピックに関する質問を繰り返すことは、誠実意思を有していない表示と考えられます。

遅滞なく
(Without delay)

ドイツ

侵害通知が詳細であればあるほど、実施者がFRANDライセンス契約締結の意思を表示するまでに与えられる時間は短くなる。本事件では、実施者がSEP保有者からの侵害の通知に応答するまでに5ヶ月より長くかかり、しかも、その応答は被疑侵害について証明を求めるだけのものであったため、Huawei要件を満たさないとされた。

ドイツ

問題のSEPを使用した製品の販売会社に対してSEP保有者が訴訟を提起したことを実施者が認識してからSEP保有者にライセンス許諾を求めるまでに3ヶ月より長くかかっていたため、実施者はFRANDライセンス契約を締結する意思を端的(succinctly)に表示しなかったとされた。

ドイツ

ライセンスを受ける意思を表示するために実施者に与えられる時間は、通常、2ヶ月を超えない。

キーワード
解釈
参照判例

ステップ 3

SEP保有者のオファー

ドイツ

実施者の親会社のみに出されたSEP保有者のオファーはHuawei要件に従っている。SEP保有者は企業グループ内の各会社に個別のオファーを出す必要はない。

ドイツ

SEP保有者のオファーは、必須の契約条件を網羅している必要があり、(ライセンス契約を締結するためには)実施者が当該オファーを受諾するだけで良いという形で条件を記載しなければならない。ライセンス料の計算については、そのオファーのFRAND適格性を実施者が客観的に評価できる方法で説明する必要がある。SEP保有者のオファーがFRAND 基準値をわずかに上回っている場合も、SEP保有者はHuawei要件を満たしている。しかし、このことはSEP保有者が他のライセンシーにオファーした条件と比較して経済的に明らかに不利な条件を(客観的な根拠なしに)実施者にオファーした場合には、当てはまらない。この点で、裁判所が求められることは、簡易評価(summary assessment)に基づいてSEP保有者のライセンスオファーがFRANDに明らかに反するか否かを判断することだけである。(Pioneer対Acer事件におけるマンハイム地方裁判所の判決(2016年1月8日、事件番号 Case No 7 O 96/14)と異なる。)

ドイツ

ライセンス契約を締結する意思を実施者が適時に表示しない場合、 SEP保有者は係属中の実施者に対する訴訟の過程においてFRAND条件のライセンスオファーを出すこともできる。

ドイツ

SEP保有者のオファーは、FRANDを完全に満たさなければならない。FRAND基準値をわずかであれ上回るオファーは、Huawei要件を満たしていない。差止命令を求める訴訟の管轄権を有する裁判所は、SEP保有者によるオファーのFRAND適格性を最終的に評価しなければならない。SEP保有者のオファーが明らかにFRAND不適格であるか否かについての簡易評価は、Huawei判決に基づいていない。

ドイツ

SEP保有者のオファーは、必須の契約条件を網羅している必要があり、(ライセンス契約を締結するためには)実施者が当該オファーを受諾するだけで良いという形で条件を記載しなければならない。ライセンス料の計算については、そのオファーのFRAND適格性を実施者が客観的に評価できる方法で説明する必要がある。クォータライセンス契約の場合には、FRANDであるとの立証なしに単位当たりのロイヤルティを示すだけでは十分でない。ロイヤルティの金額は、例えば、既存の標準ライセンスプログラムを参照すること又は、例えば、要求されるロイヤルティ金額の算定を可能にしたその他の基準値(問題の標準に関連する特許を網羅するプールのライセンス料等)を表示することなどにより、十分に透明性のあるものとしなければならない。裁判所は、この点について、差止命令を求める訴訟の管轄権を有する裁判所が求められることは(カールスルーエ高等裁判所の判決(2016年5月31日、事件番号 6 U 55/16)が求めたFRAND適格性の完全な評価ではなく)、SEP保有者のライセンスオファーがFRANDに明らかに反するか否かを簡易評価に基づいて判断することだけであると繰り返した。

ドイツ

欠陥のあるライセンスオファーについては、係属中の侵害訴訟の過程においてSEP使用者による(正当な)異議申し立てに応答することで治癒できる可能性も(手続きの効率性(procedural economy)の原則に基づき)排除されない。ただし、その範囲は限定的である。

ドイツ

Huawei要件を満たすオファーは、当該オファーのFRAND適格性を評価するために必要な全ての情報をSEP保有者がSEP使用者に対して提供している場合にのみ成立する。特に、SEP保有者は、市場で実施されている標準ライセンスプログラム又は当該標準に関連する特許を網羅するパテントプールに対して第三者が実際に支払っている料率を参照して、要求するロイヤルティ金額を透明化しなければならない。オファーの非差別性を評価するためには、比較可能な契約についての情報が必要とされる。

ドイツ

通常、オファーした(標準)ロイヤルティ 料率が市場で受け入れられていることを示すには、第三者との間における十分な件数の既存ライセンス契約を示せば足りる。

ドイツ

標準ライセンス契約に基づき許諾された多くの件数のライセンスは、基礎をなすライセンシング条件が公平かつ合理的であうることの「強力な表示(strong indication)」となる。

ドイツ

通常、オファーした(標準)ロイヤルティ料率が市場で受け入れていることを示すには、第三者との間における十分な件数の既存のライセンス契約を示せば足りる。

ドイツ

It is not required that the SEP owner provides a signed agreement to the implementer.

ドイツ

SEP権利者が標準ライセンス契約のみに基づいてライセンスを提供する場合、原則として、当該ライセンスプログラムの採用を明確にし、そのライセンス取得要請が当該標準ライセンス契約に対応することを示すだけで十分です。

ドイツ

公正かつ合理的とは、支配的な立場を利用することなく、誠実意思のある当事者に提供される条件と考えられることから、 ロイヤルティ額に加えて、オファーは他の条件(範囲、地域など)に関しても合理的であることが証明されなければなりません。

イタリア

SEP保有者が 実施者に対してのみ訴訟を提起する場合には、SEP保有者から実施者の親会社に宛てたライセンス契約のオファーがHuawei要件を満たしている必要はない。

認められた商慣習

ドイツ

SEP保有者が企業グループの親会社に宛てたワールドワイドポートフォリオライセンスのオファーは、世界を対象とする標準の分野で認められた商慣習に従っているため、 Huawei要件を満たしている。

ドイツ

SEP保有者のオファーしたライセンス契約の(地理的)範囲が FRANDを満たすか否かを判断する上では、該当する業界における認められた商慣習を考慮する必要がある。

ポートフォリオライセンス

ドイツ

SEP保有者による(ワールドワイド)ポートフォリオライセンスのオファーは、Huawei要件を満たしている。

英国

SEP保有者による(ワールドワイド)ポートフォリオライセンスのオファーは、競争法に違反しない。

ワールドワイドポートフォリオライセンス

ドイツ

SEP保有者が企業グループの親会社に宛てたワールドワイドポートフォリオライセンスのオファーは、世界を対象とする標準の分野で認められた商慣習に従っているため、 Huawei要件を満たしている。

ドイツ

SEP保有者による(ワールドワイド)ポートフォリオライセンスのオファーは、特定の事件の状況(例えば、実施者の市場における行為が1つの地理的市場に限定されている場合など)により変更が必要とされない限り、Huawei要件に従っている。 

ドイツ

対応する商慣習/業界慣習が存在する範囲においては、ワールドワイドポートフォリオライセンスのオファーは、個別の事件の状況により異なるアプローチ(例えば、使用者が単一の市場においてのみ活動している場合におけるライセンスの地理的範囲の限定など)が必要とされない限り、一般に、Huawei フレームワークに沿っている。

ドイツ

電子及び移動体通信の業界においては、グループレベルでのライセンスオファーは業界慣習に沿っており、通常、FRANDであるといえる。

英国

SEP保有者によるワールドワイドポートフォリオライセンスのオファーは、競争法に違反しない。
ライセンス締結意思があり合理的な当事者であれば、ワールドワイドポートフォリオライセンスに合意するであろうから、実施者が単一市場(英国)限定のライセンスに固執したことはFRANDに沿っているとは言えない。

英国

ワールドワイド ライセンスのオファーはFRANDに該当する場合がある。更に、ワールドワイドライセンス又は少なくともマルチテリトリーのライセンスのみがFRANDに該当するとされる状況もあり得る。

FRAND 価格帯(range)

ドイツ

FRANDは、 許容可能なロイヤルティ料率の価格帯を意味する。通常、FRANDに準拠した単一のロイヤルティ料率は存在しない。

ドイツ

FRAND refers to a range of acceptable royalty rates. As a rule, there is not only a single FRAND-compliant royalty rate.

英国

個々の事件について、FRANDに沿った条件(ロイヤルティ料率を含む)のセットは一組しか存在せず、それが所謂「真のFRAND」条件である。しかし、最初に提示した料率が「真のFRAND」料率より高かったとの事実それ自体は、 SEP保有者がFRANDアプローチをとらなかったことを意味するものではない。

英国

状況によっては複数の条件セットが全てFRANDに当たる場合もある。裁判所は、通常、単一の条件セットをFRANDとして定める。その後、特許保有者はその具体的な条件セットを実施者にオファーしなければならない。裁判所が2つの異なる条件セットをFRANDと判断した場合、SEP保有者はそれらのうち1つを実施者にオファーすればFRAND誓約に従ったことになる。(Unwired Planet対Huawei事件における英国高等法院の判決(2017年4月5 日、 [2017] EWHC 711(Pat) 事件番号 HP-2014-000005)と異なる。)

非差別性

ドイツ

非差別性に関するSEP保有者の義務は、同様の状況にある使用者にのみ適用される。支配的な特許保有者が (ダウンストリーム) 市場における競争相手(又はそのサプライヤー)の全てでなく一部のみに対して侵害訴訟を起こすことを選択した場合には、平等でない取り扱いが差別に当たる可能性も差し迫っている。しかし、かかる行為が差別的とされるのは、各事件の全体的状況の下で、 SEP保有者が合理的努力により自らの特許権を他の侵害者に対しても行使することが可能な場合のみである。特に、標準実施の早期段階においては、SEP保有者が自らの権利を多数の侵害者に対して行使するために必要な手段を有していない可能性があり、その場合、当初の段階では、市場力の高い侵害者に対してのみ権利を行使する選択は合理的であると考えられる。

ドイツ

新しい特許保有者は、一般に、前の特許保有者が実際に行っていたライセンスシングの在り方に拘束される。既存の「ライセンシング・コンセプト」からの逸脱は、(既存及び新規の)ライセンシーが不利な条件で差別されていない場合に、その範囲においてのみ許容される。

ドイツ

TFEU第102条は、「最も有利なライセンシー(most-favoured-licensee)」の原則(特許保有者が全てのライセンシーに対して同一条件をオファーしなければならないことを意味する)を定めてはいない。 

ドイツ

割引の基準として販売高を用いることは、特に、同一の状況下にある全ての(潜在的)ライセンシーにオファーされる場合、それ自体は(per se)差別的ではない 。

ドイツ

SEPの選択的な権利行使は、必ずしも差別を意味するわけではない。 特に、ある標準規格の採用の初期段階では、関連するコストと手続き上のリスクも考慮すると、SEP保有者は、多数の侵害者に対してその権利を行使するために必要な手段が十分でないこともあります。

ドイツ

不利な条件による過去または将来のライセンシーの差別につながらない場合は、当初の「ライセンスの概念」から逸脱することは可能です。 これは、たとえば、既存のライセンシーが新しい条件に移行する可能性を提供されている場合には当てはまりません。

英国

SEP保有者によるFRAND誓約の非差別性の部分は、所謂「厳格 (hard-edged) な」構成要素(全ての潜在的ライセンシーに同一の料率をオファーすることを特許保有者に義務づける)を黙示してはいない。FRAND誓約は、特許の適正市価(fair valuation)を反映する「ベンチマーク(benchmark)」料率より高い料率をSEP保有者が確保することは防ぐが、特許保有者が(ベンチマークより)低い料率でライセンスを許諾することを妨げない。

オランダ

FRANDの非差別性の要素は、同一のライセンシングの実施方法と料率を全てのライセンシーにオファーすることを特許保有者に対して義務づけない。

比較可能な契約(Comparable agreements)

ドイツ

訴訟において、第三者との間で交わされた既存の比較可能なライセンス契約に依拠してFRANDライセンスオファーを明示しようとするSEP保有者は、かかる契約に含まれる秘密情報の保護を求める場合に、特に秘密保持に関する権利の存在を正当化する必要がある。一般に、SEP保有者によるFRAND誓約の非差別性の要素を考慮すれば、SEP保有者が比較可能なライセンス契約で合意した秘密保持の条件を守る上で法的保護に値するいかなる権利を有している可能性があるのかは直接的には明らかでない。

ドイツ

既存の比較可能な契約を全て提示することは、オファーの FRAND適格性を立証する上で他の方法に優先する。更に、SEP保有者は、比較可能な契約で合意された料率がFRAND適格であるとの裁判所の判決(存在する場合)を提示する必要がある。比較可能な契約が全く存在しない場合又は十分には存在しない場合、SEP保有者は、(追加的に)問題の特許の有効性及び/又は侵害の存在に言及した判決も、同一の又は比較可能な技術分野において他の当事者との間で交わされた契約で自らが認識しているものと共に提示しなければならない。

ドイツ

新しいSEP保有者は、前のSEP保有者が交わしたライセンス契約も訴訟において確実に提示できるようする必要がある。例外は、かかる契約の提示が契約上の守秘義務に違反する場合にのみ認められる。ただし、通常、包括的な秘密保持条項の合意によりSEP保有者 (及び/又はその継承者)が係属中の訴訟において比較可能なライセンスについて機密の保護を発動させることはできない。

ドイツ

SEP保有者がFRANDライセンスオファーを行う義務は、ライセンシングの実施方法についての「情報提供義務(information duty)」も伴う。通常、この「情報提供義務」は、比較可能なライセンス契約にも適用される。しかし、SEP保有者は、いずれにしても、既存の全ての比較可能な契約の全内容を開示する義務を負うわけではない。

ドイツ

実施者は、 SEP保有者が交わした比較可能な契約について完全開示を求める法的権利を有してはいない。

ドイツ

比較可能な契約は、オファーのFRAND適格性を判断する上での「重要な指標(important indicator)」である。特許保有者は、原則として、比較可能な契約のうち重要なもの全てについて情報を提供する必要がある。しかし、特許保有者は、比較可能な契約の全てをライセンスオファーと伴に提示する必要はない。

ドイツ

比較可能な契約は、オファーのFRAND適格性を判断する上での「重要な指標(important indicator)」である。特許保有者は、原則として、比較可能な契約のうち重要なもの全てについて情報を提供する必要がある。しかし、特許保有者は、比較可能な契約の全てをライセンスオファーと伴に提示する必要はない。

ドイツ

SEPの所有者は、すでに締結されているすべてのライセンス契約の全内容を提示する必要はありません。 明確に示されている製品カテゴリーを考慮して、関連する契約のみを開示する必要があります。 クロスライセンス要素を含むライセンスは、当該実施者が特許を持っていない場合は、適切ではありません。

英国

特許保有者と第三者の間における既存の比較可能なライセンス契約は、侵害訴訟において公平、合理的、かつ非差別的なライセンシング条件を定めるための比較対象の文書として関連性が高い可能性があるため、通常、「外部顧問専用(external-eyes-only)」の制限の適用を受けない。

秘密保持

ドイツ

FRANDライセンスオファーを明示する上で依拠する秘密情報について保護を求める訴訟当事者は、 (1)かかる情報を特定し、その情報が企業秘密に該当する理由を具体的に説明し、 (2)当該情報の秘密保持を確実にするために既に取られている措置を詳細に示し、(3)当該情報が開示された場合に被る具体的な不利益を実証済かつ検証可能な方法で(各情報毎に)示し、 (4) 前述の不利益の発生がどの程度の確実性で予測されるかを説明しなければならない。

ドイツ

係属中の訴訟において秘密情報へのアクセスを求める当事者は、当該情報の保有者が保護の必要性を立証し、その情報が開示された場合に具体的にどのような不利益がどの程度の確実性で発生するかを示した場合には、 NDA(秘密保持契約)を締結する義務がある。この場合、(開示を求める当事者が)NDAへの署名を拒否すれば、秘密情報を保持する当事者は、トライアルでの弁論を「一般的で表示的な陳述(general, indicative statements)」に限定することを許される。

英国

訴訟当事者間に別段の合意がある場合を除き、秘密情報を含む文書を訴訟において保護するために「外部顧問専用(external eyes only)」メカニズムを使用することは、例外的な事件においてのみ可能である。訴訟への関連性が(存在するとしても)限定的な文書については、保護を求める当事者に開示が不要な損害を与える場合「(外部顧問専用)」の制限の対象とすることができる。その一方で、当該事件において重要な文書は、通常、前述の制度の対象とすることはできない(欧州人権条約(European Convention on Human Rights) 第6条)。

フランス

新たに導入されたフランス商法L. 153-1条によれば、機密文書(比較可能なライセンス契約を含む)の裁判所命令による開示は、以下の条件に従って行われる。先ず、関連する文書は、裁判所命令から1ヶ月後を期限として両当事者の弁護士に対してのみ(編集無しで)提供される。その後、両当事者の弁護士には、当該文書のどの部分又は要素が企業秘密に影響するかについて書面の提出により主張する機会が与えられる。これに基づいて、裁判所は秘密情報に当たる可能性のある情報の保護に関して更なる措置が必要か否かを判断する。

秘密保持契約

ドイツ

秘密情報の保護を求める当事者は、かかる情報の訴訟における開示に先立ち、相手方(及び補助参加人(intervener))との間で秘密保持契約 (NDA)を締結するべく努力しなければならない。相手方(又は補助参加人)がNDAの締結を不当に拒否した場合、機密の保護を求める当事者は、秘密保持の正当な権利を守るために「表示的な陳述のみ(merely indicative observations)」を必要な(それを超えない)範囲でトライアルにおいて行うことによりFRANDライセンスオファーを具体的に示す自らの義務を充足できる。

ETSI 宣言 /FRAND宣言

英国

欧州電気通信標準化機構(European Telecommunications Standards Institute: ETSI)からFRAND宣言を行うよう求められた特許保有者は、かかる宣言を行うよう義務づけられてはいない。ETSIのIPR ポリシーは、特許を保有していないETSIメンバーに対してFRAND宣言を義務づけてはいない。 ETSI メンバーの親会社がETSI に向けてFRAND宣言を行った場合、当該ETSIメンバーには、ETSI のIPRポリシーの下で親会社によるFRANDコミットメントの履行を確保する義務はない。更に、ETSIに向けた親会社のFRAND宣言が「子会社/関係会社(Affiliates)」に言及しているという事実は、 自ら特許を保有していない子会社について当該宣言に従ったFRAND義務を成立させるものではない。

キーワード
解釈
参照判例

ステップ 4

応答義務

ドイツ

たとえSEP保有者のライセンスオファーがFRANDでなくとも、実施者は応答する必要がある。(Sisvel対Haier事件におけるデュッセルドルフ高等裁判所の判決(2016年1月13日、事件番号 15 U 65/15) と異なる。)

ドイツ

実施者は、SEP保有者が先に出したライセンスオファーがFRANDか否かに関わらず、FRANDのカウンターオファーを提出しなければならない。実施者の義務は、FRANDなカウンターオファーを行う上で実施者が必要とする(特に、ロイヤルティ計算についての) 全情報がSEP保有者のオファーに正式に含まれている場合に発生する。

ドイツ

実施者は、保有者のライセンスオファーの条件がFRANDでない場合には、かかるオファーに応答する必要はない。

ドイツ

実施者は、自らの見解によればSEP保有者のライセンスオファーがFRANDでないと思われる場合でも当該オファーに応答する必要がある。ただし、このことは、SEP保有者のオファーが簡易評価に基づき明らかにFRANDでない場合には当てはまらない。(Sisvel対Haier事件におけるデュッセルドルフ高等裁判所の判決(2016年1月13日、事件番号 15 U 65/15)と異なる。)

遅滞なく(Without delay)

ドイツ

SEP保有者のライセンスオファーから1年半かつSEP保有者が実施者に対して訴訟を提起してから半年が経過した後に実施者がカウンターオファーを出したことはHuawei要件に従っていない。

認められた商慣習

ドイツ

SEP保有者のオファーに対する実施者の応答義務は、信義誠実原則(principle of good faith)及び問題の業界において認められた商慣習から発生する誠実な対応の義務(due diligence obligation)
を示すものである。

ドイツ

カウンターオファーは、該当する分野における認められた商慣習と信義誠実原則を考慮して、適時に、即ち、可及的速やかに、出す必要がある。

実施者のカウンターオファー

ドイツ

ロイヤルティの金額が実施者のカウンターオファー中で指定されておらず、独立の第三者により定められる場合には、そのカウンターオファーは、Huawei要件の観点から「具体的(specific)」ではない。

ドイツ

実施者のカウンターオファーがライセンスを単一市場(ドイツ)に限定している場合、特に、実施者 (又は実施者の属する企業グループ)が問題のSEPを使用した製品を他の市場でも販売しているのであれば、かかるカウンターオファーはFRANDではない。

ドイツ

実施者のカウンターオファーは、ロイヤルティの金額を独立の第三者が定めるとし、問題のSEPが保護されている複数の国で実施者が侵害を犯している(可能性がある)にも関わらずライセンスの対象地域を単一市場に限定している場合、Huawei要件に従っていない。

ドイツ

SEP使用者がSEP保有者にFRAND カウンターオファー を出す義務は、SEP保有者からのオファーのFRAND適格性を評価するために必要な全情報をSEP保有者がSEP使用者に提供した場合にのみ発生する。

ドイツ

SEP使用者がSEP保有者にFRAND カウンターオファー を出す義務は、SEP保有者からのオファーのFRAND適格性を評価するために必要な全情報をSEP保有者がSEP使用者に提供した場合にのみ発生する。
SEP保有者が侵害訴訟を提起する前に、SEP保有者のオファー を評価し最終的にカウンターオファーを出すために十分な時間がSEP使用者に対して与えられるべきである。 

ドイツ

パテントプールの単一のメンバーのポートフォリオのみをライセンスの対象に限定する及び/又は事実に基づく根拠なしに地域によって異なるライセンス料率を定めるカウンターオファーはFRANDではない。

ドイツ

企業グループ内の1つの関連会社のみが交わす契約に限定したカウンターオファーはFRANDではない。

ドイツ

SEP権利者によって提供された条件から見て、実装者がその条件がFRANDである理由を十分に説明できない場合、カウンターオファーはFRANDではありません。 カウンターオファーは、ロイヤルティ率だけでなく、すべての条件を提示する必要があります。

オランダ

特許保有者が提起した侵害訴訟の過程において実施者が初めてカウンターオファーを出した場合でも、過去に遡ってTFEU第102条の点から(支配的地位の)「濫用」に当たる違反行為とされることはない。

FRAND価格帯(range)

英国

個々の事件について、FRANDに沿った条件(ロイヤルティ料率を含む)のセットは一組しか存在せず、それが所謂「真のFRAND」条件である。しかし、提示した料率が「真のFRAND」料率より高かった事実それ自体は、 SEP保有者がFRANDアプローチとらなかったことを意味するものではない。

キーワード
解釈
参照判例

ステップ 5 及び 6

担保提供

ドイツ

実施者は、自らのカウンターオファーに基づき、使用行為についての収支計算書を提出し潜在的なロイヤルティ金額についての担保を提供しなければならない。実施者は、自らの最初のカウンターオファーが拒否された後、その後(保有者からの)オファーや(実施者からの)カウンターオファーが出されたか否かに関わらず、この義務を履行しなければならない。実施者の最初のカウンターオファーが拒否されてから1ヶ月が経過した後にこの義務を履行した場合、Huawei要件を満たさない。

ドイツ

実施者が既にSEPの使用を止めていると(される)事実は、過去の使用期間についての担保提供義務を解除しない。

ドイツ

実施者は、自らの最初のカウンターオファーがSEP保有者により拒否された後、その後(保有者からの)オファーや(実施者からの)カウンターオファーが出されたか否かに関わらず、担保を提供しなければならない。実施者の最初のカウンターオファーが拒否されてから数ヶ月後に担保を提供した場合、Huawei要件を満たさない。実施者が単一市場(ドイツ)における使用行為についてのみ担保を提供した場合も同様である。実施者が、(SEP保有者の要求により)仲裁廷又は別の(英国)裁判所が裁定した担保についてのみ提供を申し出た場合もHuawei要件を満たしていない。

収支計算書の提出

ドイツ

実施者がSEPの使用を既に止めている(とされる)事実は、過去の使用期間についての収支計算書の提出義務を解除しない。